<報告⑦>
オオキンケイギク駆除のための遮光シート実験 シートの設置作業について
(2025年3月14日)
兵庫県西宮土木事務所との共同で始めた実験が2年目に入りました。昨年の実験を継続して追跡するとともに、今年も新たに遮光シートを用いた駆除実験を行います。
写真① 昨年実験を行った場所より下流の、百合野橋から50mほど下った仁川左岸にて遮光シートを護岸に取り付ける作業を建設業者さんにしてもらいました。
写真② 今年は全部で6面のシートを張りました。
昨年の実験では、2か月間(3月下旬〜5月下旬)の遮光によってオオキンケイギクの大部分の株の地上部が消失し、その後も新たな芽生えがないという良好な結果が得られました(報告③参照)。まだ最終結論は出ておらず、今年も昨年の実験地で経過を追跡する予定ですが、今年は、同じ2か月間遮光する実験をもう一度くり返すことと、遮光期間を1か月程度に短くした場合にどうなるかを調べる計画です。そのため、2か月遮光区と1か月遮光区、遮光シートを張らない対照区の3つの実験区を、それぞれ3か所ずつつくりました。そこで、設置した遮光シートが6面となったわけです。作業、お疲れさまでした。
さて、実験がどうなるか、楽しみです。
<案内>
オオキンケイギク駆除のための遮光シート実験の実施について
<報告⑥>
オオキンケイギク遮光実験の報告2
(2025年2月11日)
写真① 人と自然の博物館で行われた「共生のひろば」に参加し、「遮光シートを用いたオオキンケイギクの駆除実験」と題して兵庫県西宮土木事務所の藤原俊介さんと武庫川流域圏ネットワークの遠藤がポスター発表を行いました。実験区の徘徊性昆虫などへの影響も報告しました。参加者との熱心な議論ができ、有意義な発表となりました。
<報告⑤>
オオキンケイギク遮光実験の報告1
(2024年11月15日)
写真① さらら仁川で行われた活動報告会で、共同研究をおこなっている兵庫県・西宮土木事務所の藤原俊介さんが「遮光によるオオキンケイギク駆除方法の検討」と題して発表を行いました。今年の段階では、2か月間の遮光によってほとんどのオオキンケイギクの株の地上部が消失したこと、ただし地下部が死んでいるかどうかはまだ来年の調査で確認する必要があることなどが報告されました。写真は当日のスライドの1枚です。
<報告④>
オオキンケイギク遮光実験
(2024年11月15日)
この時期には例年、河川敷の草刈りが行われます。
この日の観察の直前にオオキンケイギクの実験地でも草刈りが行われてしまい、実験には一定の影響がありそうですが、通常の河川の植生管理の範囲内で実験をしているのでやむを得ません。それに、草丈が伸びた状態では、画像によるオオキンケイギクの株の観察ができなかったので、草刈りはある意味タイムリーでした。結果としては、この時期でも遮光区ではオオキンケイギクがほぼ見つかりませんでした。
写真① 遮光区です。イネ科の草本がすっかり刈り取られていますが、オオキンケイギクの株はやはり見あたりません。
写真② となりの対照区。草は刈り取られていて、一見すると遮光区とあまり変わりません。
写真③ しかし、クローズアップで見ると、オオキンケイギクの株が生きています。
<報告③>
オオキンケイギク遮光実験
(2024年8月19日)
仁川にも夏が来ました。河川敷は夏草で覆われています。
今回の途中観察では、対照区にはオオキンケイギクは元気に生育していましたが、遮光区ではほぼ見つかりませんでした。
詳しくは以下の写真をご覧ください。
写真① 遮光シートの実験をしていた護岸は、写真の右側です。
近くの草の生えていない砂地には、砂原の住人ヤマトスナハキバチの姿もありました。
さて、遮光シートを設置していた場所はどうなっているでしょうか。
写真② この遮光区ではイネ科の草本が目立ちますが、オオキンケイギクの株は見あたりません。
写真③ 一方、対照区。写真では分かりにくいですが、石と石のすき間にオオキンケイギクの株があちこちに見られます。
写真④ もう少し近づくと、オオキンケイギクが元気よく生えているのがわかります。
<報告②>
オオキンケイギク駆除のための遮光シート撤収
(2024年5月29日)
仁川の上百合野橋上流の左岸にオオキンケイギク駆除のために実験的に遮光シートを設置してから約2か月。本格的な梅雨シーズンの前に、兵庫県武庫川対策室の職員2名の方と武庫川ネット会員4名によって、遮光シートを撤収する作業を行いました。予定していた5月28日は、低気圧と前線の影響で警報が出るほどの大雨となり(西宮の24時間降水量は161ミリ)、作業は中止。翌日増水が落ち着いてからの作業となりました。
シート下部70センチくらいまで泥をかぶり、固定用の土のうも少し動くなど、増水の激しさがわかりましたが、さいわいシートはすべて無事で、撤収作業を終えることができました(①)。隣接して設けたシートを設置しないで放置した対照区では、オオキンケイギクが開花中です(②)。シートを設置した処理区のオオキンケイギクは、ひと月前は白いモヤシ状態でしたが(HP中間報告参照)、今回は地上部がかなり乾燥し、一見枯れているように見えました(③、④;写真③で白く見えているのは別のイネ科植物です)。しかし、引き抜いて根の状態を観察してみると、まだ完全に枯死していないようでもあります(⑤)。
遮光シートで生育を抑えたオオキンケイギクが、このまま衰弱してやがて枯死するのか、それともしぶとく復活してくるのか、この実験では追跡調査を続けていく予定にしています。
①護岸での遮光シートの撤収作業
②遮光シートを設置していない対照区の様子。オオキンケイギクはまだ花ざかり
④オオキンケイギクの地上部はほぼ枯れている。
⑤実験処理区のオオキンケイギクの根の様子。まだ完全には枯死していないようにも見える。
<報告①>
オオキンケイギク駆除のための遮光シート実験の実施について
(2024年3月25日〜5月末予定)
河原の植生に大きな脅威を与えるとされるオオキンケイギク。その駆除には、根から引き抜くことが推奨されています。とはいえ、なかなか大変で、手の届かない法面や急斜面では作業がむずかしく、駆除が進みません。そこで、兵庫県の西宮土木事務所 武庫川対策室、宝塚土木事務所 武庫川対策室と武庫川ネットが共同して、遮光シートによる駆除の実験をすることになりました。雑草対策などに使われる防草シートで光を当たらなくしてオオキンケイギクの生育を抑えようという試みです。
3月25日に、西宮市と宝塚市の境界を流れる仁川の上百合野橋上流の左岸を実験地として、遮光シートを設置した処理区 (①、②) と比較のためそのままにした対照区をそれぞれ3つ設けました (③)。
実験開始から約1か月経過した4月22日、シートを一時的に外して様子を観察したところ、オオキンケイギクは「もやし」のようになっていました (④、⑤)。実験は河川が増水する恐れのある梅雨前の5月末まで行い、オオキンケイギクやその他の生物にどの程度影響があるかを調べる予定です。さて、この後どうなるか、注目です。
①オオキンケイギク駆除実験の遮光シートの設置作業。あいにくの小雨の中での作業でした (3月25日)
③遮光シートを撤収した処理区の様子。白い茎が見えるのはイネ科の植物。
② 設置された遮光シート (3月25日)
③ 上百合野橋上流の左岸に設けられた実験区。①、③、⑥が遮光シートを設置した処理区、②、④、⑤が比較のためシートを設置しない対照区(道路の端に貼られた白いテープが目印、3月26日対岸から撮影、写真は合成したもの)
④ 約1か月後の経過を観察するためにシートを一時的に外したところ (右側)。オオキンケイギクは「もやし」状態になっていた。比較のための対照区 (左側) ではオオキンケイギクが青々と育っている (4月22日)
⑤ 「もやし」状態になったオオキンケイギク。植物のたくましさも感じます (4月22日)